2011年9月18日日曜日

9/15-17、第15テーマ, El tema N°15

木曜日の午後からのテーマは『人間関係強化セミナー:関係作りの仕事のアートを学ぶ』で、引き続きエルネスト・タン先生が指導して下さいました。

導入として、人間関係というのは往々にして苦悩の種だけれど、これなしには生きられないことが指摘されました。ということは、ここにどのようにして関係を作り上げるかの挑戦があること、そしてその人間関係づくりというのは、技術よりも知恵であること、だからこそ心豊かに健康的な人間関係をつくるための基本条件を学ぶことに焦点を当てるのだ、ということが提言されました。

ここでの学びの概要:
・健康的な人間関係のカギ
・価値と技術の基本条件
・人間関係調査目録
・異なる本性の理解
・フィードバックの与え方、受け方
・個人の空間と境界線
・対立と協力的問題解決の仕方

人と関わったために生まれる三つの傾向の可能性
・人から離れていく動き
・人と対立していく動き
・人へと向かっていく動き
これらの傾向には理由がある(例:人へと向かっていく場合>福音的価値から、自分の寂しさを紛らすため、気持ちがいいから、そう学んだから)

健康的な人間関係のカギは、「与えること」と『受けること』の正しい学びにある。
与えることを『慈愛』と呼び、受けることを「正義」というカテゴリーに分ける。

慈愛の基本:
1)人は自分とは異なる。エゴの延長で人を取り込もうとすると不和を生む。
2)違いも、家庭の背景から生まれる影響が一番強く、他に本性と呼ばれるものに、性の違い、文化、年齢層、国や文化の違いなどが取り上げられる。
3)本性は振舞いによって表現される。
4)しかし、見掛けだけで判断しきってはならない。
5)振舞いは必ずしもその動機や意向と同じとは限らない。例:子供が雨の中で遊ぶのは、『親を心配させたい』からではなく『単純に雨の中で遊ぶのがわくわくする』から。反抗期の青年が親に連絡をせずに遊びに出かけるのは『親を憎んでいるから』ではなく、『本能的に親離れをする必要に駆られるから』である、等々。
6)挑戦=他の人の本性を受け止める、あるいはあきらめて我慢する必要性。哀れに思う(低い段階)→慈愛(より高い段階)→全人的な受容。
7)正直な意思疎通の必要性:人となりを知った上で愛することが、慈愛を実現させるための唯一の道。

慈愛の感覚をどれほど持っているかの自己認識テスト:以下の価値をどれほどのレベルで身につけているかを0から3の四段階(0=皆無、1=低い、2=ふつう、3=高い)
・慈愛を人に向ける能力(尊敬;受容;心の開き;忍耐;能動的に聞く姿勢;共感的理解;信頼できる度合い(秘密を洩らさない、決めたことを必ず実行する、等々)
・慈愛を人から受ける能力(真正性;心理学的な正直さ;自発性;信頼;自己認識;自己受容;自己開示)

この能力判断テストの結果について二人組で分かち合う。


正義の基本:
1)人は自動的に自分に影響を与えることを認識しておくこと。
2)他の人の振る舞いで示される本性は自分自身やその信念、基本的な姿勢を脅かしたり、権利を侵したり、個人的空間にメスを入れたりするのが当たり前:あなたが必要としていることを、言わなくても他の人が分るものだと思うことがあるだろうが、人は魔法使いではなく、思っているほど感受性も豊かではないことを認識しておくこと。
5つのA:Attention(注意を払うこと)、Acceptance(受け入れること)、Appreciation(よく評価すること)、Affection(情愛ストレス対処法)、Allowing(容認)の姿勢をもって正義を払う。
3)自分には権利がある:もし理が通っているなら、他の人が言うからということで自分の信念やあり方、個人的空間をすべて放棄する必要はない。
4)他者のあり方を強制的に犯す権利はない。
5)挑戦=他者にフィードバックを提示することで相手と愛に満ちた向き合い方をするに至る。
6)利点(ボーナス):他者に本当に自分らしくあることができるように促すこと。
7)相互理解、協力、本物の調和のとれた平和的な兄弟愛に至る。
本性は簡単には変えられない。だから、どのように相手との関わりを切るか、あるいは相手を放置するかではなく、どのように相手と生きるかのすべを学ぶ必要がある。
正義を実践するにあたって、決して慈愛を忘れてはならない。なぜなら愛が第一の掟だから。
正義の実践は、常にフィードバックであり、攻撃や否定的な感情の発散などではない。


正義の感覚をどれほど持っているかの自己認識テスト:以下の価値をどれほどのレベルで身につけているかを0から3の四段階(0=皆無、1=低い、2=ふつう、3=高い)
・正義を人に向ける能力(勇気;愛に満ちた優しさ;交感的他者認識;ゆるし;信頼のおける姿勢を求める;断言;フィードバックを与える姿勢)
・正義を人から受ける能力(謙遜;客観性;柔軟性;創造性;信頼のおける態度;フィードバックを受ける姿勢;交渉力)



二択ゲーム:部屋の真ん中に集まり、二択の選択肢から自分がどちらの型かを選び、右か左かに別れ、同じ選択をした人たちと、なぜその型だと思ったかを分かち合う。(例:居間型か寝室型か;メルセデス・ベンツ型かフォルクス・ワーゲン型か;太陽型か月型か;競走馬型か亀型か;金づち型か釘型か;今ここで型かあそこであのとき型か;はい型かいいえ型か;頭型か心型か;慈愛型か正義型か;秣桶の中のキリスト型か十字架の上のキリスト型か)
ゲームの後で4人組で次のことを分かち合う。



人間関係調査目録の作り方
1)A4の紙を縦長に半分に折る。
2)これを横に半分にまた折る。
3)紙を開いて、右半分を三等分で降り、それぞれの縦のコラムの頭にA、B、Cとふる。
4)左の上に自分が生きていることで一番関係の近い人の名前を挙げる(親しい兄弟、友人、仕事の右腕となる人、等々)。
5)左の下には第二義的に近い関係の人の名前を挙げる(兄弟、それなりに近い友人、等々)。
6)Aコラムに、4)、5)で挙げたそれぞれの人との関係性の良し悪しを%で表示。
7)Bコラムに、100%とと言い切れない具体的な理由となる出来事を書く。
(よくある理由:やきもち;独占欲;コントロール;操作;高圧的態度;いやがらせ;職権乱用;依存;相互依存;信頼を失うに至った体験;不倫;未熟度;約束を守らなかった出来事;自己中;頑迷さ;完璧願望;意思の疎通の障害;尊敬の欠如;ゆるしの足りなさ;つまらない;熱意の足りなさ)
8)Cコラムに、この関係を改善するために必要な自分の態度、価値は何かを書く。
(よくある価値:上記の慈愛の14価値と正義の14価値を参照)
9)分かち合い:この実習を通して見えてきた、人間関係にひずみが生まれる理由にどのようなことが一番多いか;自分の人間関係のあり方で何が浮き彫りになってきているか;どのような説明ができるか;人間関係のために、どのような挑戦を受けて立たなければならないか;色々な人との人間関係を高めるために、何を続け、何をやめ、何を始めなければならないか。

『空間と境界線』
・物理的な空間:顔の近さ、体の近さ
・心理的空間:しばしば子供の夢を親が決めつけて心理的に自由を奪うことがある。
・物理的境界線:部屋のかぎをかけるなど。
・心理的境界線:言ってはならないこと、など。

『空間と境界線が侵された場合の3つの反応』
・服従/盲従:「わたしはだめ、あなたは大丈夫」
・攻撃:相手よりも強く出て引きずり落とす。「わたしは大丈夫、あなたはだめ」
・主張:自己表現、けれど敬意を保ちながら。「わたしは大丈夫、あなたも大丈夫」

『フィードバックとは』
・単純な意思疎通の手段で、人の振舞いがどのように自分に影響しているかを表現すること。(例:「あなたの声色でわたしは震えあがりました」)
・フィードバックは人の変化を強制しない。
・フィードバックの受け手にはこれを聞いてどうするかの決断の自由がある。
・相手の振る舞いと動機が同じであったかを反省する方法。
・受け手が他の人に対してますます繊細で共感的になれるように招くもの。

『フィードバックを与えるときの注意』
・フィードバックを人にしようとするときは、相手が準備できているかを確認する必要あり(例:「あなたにフィードバックをしようと思うのですが、いいですか?」というような質問をもって)。けれど本来は「わたしにフィードバックをしてください」と頼めた方がよりよい。
・評価的ではなく、描写的に伝達(「あなたの表現の仕方は悪い」ではなく、「あなたの話し方でわたしは戸惑った」というような表現で)。
・変えようのある振る舞いについて(=「あなたの鼻が丸くて嫌い」、のような自分で変えられないようなことはフィードバックでは扱わない)。
・外から観察できる振舞いについて=動機を想像しての批判ではない。
・最近のことについて=何年も前のことをぶり返すのはフィードバックではない。
・ふさわしい時に与えられるべきもの。
・相手の何らかの助けになるということで与えられるもの。
・一度には一つの点に焦点を当てるべき。はたみかけないこと。

『フィードバックを受ける側の注意事項』
・これを受けてどうするかは受け手の自由。
・他の人に自分がどうかかわっているかを確認することができる。
・フィードバックの与え手にどんな具体的な出来事を通してそう感じたかを尋ねるとより助けになる。
・言い換えて『あなたはこのようなことをわたしのこのようなふるまいで感じたのですね』というように確認を取る。
・フィードバックをしてくれたことに尊敬と感謝の気持ちを表す。

『対立・摩擦の生まれた場合の対処方法』
・「具体的なふるまい→感情→結果→代わりになる振る舞い」
・『押し・押し戻し現象』:守りに入る姿勢。この場合はこの現象と保護的態度に対して単に耳を傾ける。

『目的地にたどり着け』ゲーム
・3人のボランティアに、部屋の中の一点をゴールに決めて、後ろ手に3人、肘を組み、言葉を一切使わずにそれぞれゴールに向かうようにとの指示。


・対立の本質は:異なる方向、異なる目的や価値から来るものが多い。
・勝ち負けの意識だと、競争があり、「わたしが最初」という感覚が育ってしまう。
・勝ち勝ちへの招き:協力があり、「誰も一番ではない」という感覚。
・飛び:拒否、撤退、否定。
・攻撃:暴力、否定的な対立。
・向き合う:協力、問題解決へ近づける。

『愛が自分に何を求めているか』を内省し、分かち合う。

1 件のコメント: